スカルスでの授業【1】ソーイング<スカート編>
スカルス手芸学校回想記。
ただいまスカルスで過ごした幸せな生活を、自由な感じのZINEとしてまとめようかと計画中…
一応グラフィックデザイナーだし、もっとデザインを勉強したからその一環としてもZINEにまとめるのは楽しそうではないかと!
更新が滞っていたこのブログ。
その理由はスカルスでの日々が幸せすぎたからというもの。笑
日本でもとの生活に戻り、毎日何かと戦っている今、スカルスでの幸せで温かな日々を思い出すのが逆に辛いという状況になっていたのです。
でもやっぱりブログとして記録を残しておきたい!
今回はスカルス手芸学校で私が受けたソーイングの授業について。
私がスカルスにいたのは2018年の秋ターム。授業はソーイングに始まりソーイングに終わる。という感じだった。
ターム中、一番多かったのがソーイングの授業。私はソーイングルームが大好きだった。(授業も楽しかったけど、そもそも教室が好き。笑)
机も広くて、工業用ミシン、ロックミシン、そして布や糸まで全部そろってる。それに窓から見える風景まで素敵。本当に夢のような空間だった。
部屋が少し狭めだったから荷物をソーイングルームの定位置の机に置いて、第2の自室のように使ってた。笑
ソーイングの授業で最初に作ったのはスカート。
まずは全身のサイズを測って、そのサイズに沿ったそれぞれの「グランドパターン」と呼ばれるタイトスカートをパターンからおこしていく。そしてそのグランドパターンをもとに、各々が作りたい形のスカートをデザインして、展開してパターンを作って縫うという流れで進められた。
日本みたいに正解の課題があって「はい、これを作りましょう」ではなくて、「スカート」と言ってもどんなスカートにするのかは完全に個人の自由。
プリーツスカートでもロングでもミニでも巻きスカートでもなんでもいい。作りたいものを作る。この思想はソーイングの授業に限ったものではなく、スカルスの授業全てに共通することだった。
私は悩みに悩んだ結果プリーツスカートを作ってみることに。
留学前は簡単なギャザースカートくらいしか作ったことがなくて、プリーツスカートをパターンにおこすなんてちんぷんかんぷんだった。
Hanne(先生)が参考になるデンマーク語の本を渡してくれて、それを見ながらなんとか考えてみるけど頭の中は"?"だらけ。先生に質問するけど英語でどう聞いたらいいのかもわからない。そして先生もそこまで英語が得意なほうではないようでやはり"?"だらけ。
似たようなスカートを作るクラスメイトにどうやるか聞いてみようとするけど、ここでも語学力が全く足りない。
最初のソーイングの授業はコミュニケーションの取り方の授業だと思ったくらい、先生ともクラスメイトともうまくコミュニケーションが取れなくて悩んだ授業でもあった。
悪戦苦闘しながらなんとかプリーツスカートのパターンが完成。
次はそのパターンを「スタウト」と呼ばれる仮縫い用の生地(日本で言うところのシーチング)で実際にスカートとして縫ってみる。
仮縫いしたスカートを試着してみて、大きいところを詰めたり、小さいところを出したり、そして、その修正点をパターンに反映させて修正して、スタウトも縫い直して…の繰り返し。
パターンをおこしてちゃんとした仮縫いが完成するまでにはまるまる1週間かかった。
ソーイングってこんなに大変な作業なのに、世間の洋服があんなに安いことが本当に信じられなくて、洋服を買うときは心からトキメクものだけを買って大切に着よう、と密かに心に誓ったのだった。
本縫い用のテキスタイルはソーイングルームの中に20〜30種類くらい置いてあって、そこから買うこともできる。(でも日本に比べて生地の値段はとっても高い!1m 1500円くらいが平均的な値段だった。)
私は今回、無料で使えるハギレコーナーに可愛くて大きな布があったのでそれを使うことに。そしてなんとか完成…!
柄物大好きな私。かわいいテキスタイルが見つかって本当に大満足!プリーツは無理やり辻褄合わせた感が強いけど。笑
日本に帰ってきて痛感することは、スカルスでの日々は、本当に毎日お互いに褒め合う素敵な日々だったということ。誰かが作ったものを「それ素敵!」「かわいいね!」「私もつくってみたい!」と必ず毎日誰かを褒めていたし、私も毎日褒められていた。無理やりそうやってるんじゃなくて自然と褒めたくなるような優しい空気感。このスカートを作った時もクラスメイトの全員が嬉しい言葉をかけてくれた。
日本にいると言語が全部理解できてしまって聞きたくない言葉も耳の中に入ってきてしまうから、という理由もあるのだと思うけど、「その洋服素敵だね!」「かわいいね」なんて毎日言われないし私も言わない。
だからこそ心が少しずつささくれ立ってイライラが募ってしまうのかも。と思ったり。
誰かが言ってくれなくても一人でデンマーク文化を日本でも続けていきたいなぁと思うのでした。その方がきっと幸せに暮らせる。(話がそれたけど。)
ソーイングの授業は基本的な技術をゼロから丁寧におしえてくれる、という感じではなく、自分が作りたいもののつくり方を先生に聞いて全体的な手順や流れを教えてもらうというかたちがメイン。
もちろん先生に聞けばファスナーのつけ方やボタンホールの作り方、裾の処理とかの基本的なことも教えてはくれるけど、それよりも、より体にフィットさせるためにはどうするかや、作るための大きな流れやポイントを教えてもらうというイメージの方が近い。
先生1人に対して生徒が12人くらいいて、全員バラバラのものをつくるから、なかなか先生に聞く順番も回ってこない。だからこそ、まずは大きな流れを先生に聞いて作り方の手順やポイントを押さえた上で、先生が回ってくる順番を待つ間に基本的な技術でわからないところは本を見ながら実践する、それでもわからないところは先生に聞く。私はこんな感じで進めていた。ソーイング経験がゼロだと難しいことも多いのではないかと感じたのも事実。
フォルケにおいて「先生」は、あくまでも生徒の「サポート」をしてくれる存在だから、日本の学校のようにまるまる全部を先生に頼りきってしまうとうまくいかないのではないかなぁと思った。
ソーイングの授業はこのあとも数回に分けてたびたびあったのでした。結局私はソーイングの授業でスカート1着、ズボン1着、ブルゾン1着、ワンピース1着の計4着をつくりました。
ワンピースは布を織りの授業で作って、ソーイングの授業でワンピースに仕立てるという大作にチャレンジ!大変だった!これは別の記事にて。